君の為に紡ぐ「」-Voice01-
いつもと変わらない風景
いつも通りの日常
退屈という名の平和
そんなモノクロの世界が一瞬で色づいて見える程の美しい赤髪に今日・・・
俺は恋をした
ただ淡々と生きて行くだけの人生・・・ゆるりと目標もなく黙々と進む日々に息が詰まりそうでしんどくて苦しかった。
やりたい事は沢山、もっと沢山あったハズなのにそれさえ分からなくなってしまった自分に嫌気がさしていた俺にとってその出会いは運命だと思った。
俺は少しでも気分転換になればと駅近くの図書館に足を運び、いつも使用している窓辺の角の席に向うと・・・夕陽に包まれ、美しく煌く赤色がそこにはあった。
綺麗だと心の底から思った・・・何かを綺麗だと純粋に思ったのはいつ以来だろうか・・・。
しばらく目を離せないで立ち尽くしていると、真紅の瞳と視線が交わった。
な、んだコレ・・・顔が熱い・・・
一人あたふたしていると真紅の瞳がスゥと細められ、その口元には笑みが浮かべられており、傍にあった椅子をひいて椅子の淵をトントンっと白く長い指で音を刻み、席をすすめてくれた。
その動作一つ一つがどれも様になっていてまるで絵画から抜け出てきたのかと思うほど綺麗で・・・言葉にならなかった。
心臓の音がうるさい・・・熱い・・・熱なんかないはずなのに身体中が熱い・・・
どうしよう・・・どうしよう・・・どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう・・・ヤバい
そして気が付いたら俺は図書館を飛び出していた。
・・・恥ずかしくて飛び出していた。
人生で初めての恋を、一目惚れをした。
赤髪の彼に・・・。
この時、俺はまだ彼が俺宛に手紙を残してくれているとは思ってもいなかった。
・・・そして、とても歪(いびつ)で遠回りで苦しい恋愛になることもこれっぽちも思っていなかった。
太陽の様な温かさを持つ彼と月の裏側の様になかなか素直になれない彼の恋はまだ始まったばかり。
Dear.夕陽色の頬をした君へ
今日は驚かせてしまったかな・・・
今度また此処で会えたら君のおすすめの本を教えて欲しい
・・・迷惑じゃなければ
それじゃ、また
from.K
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